忘れない。「八王子の五重塔、刻石流水と三大恩人の銅像」
刻石流水という成長の原理原則があります。かけた情けは水に流せ、受けた恩は忘れずに石に刻めという意味ですが、現在の風潮は、その反対の人が多いと思います。
八王子の五重塔で知られる天海山 雲龍寺は曹洞宗(禅宗)のお寺。ここに一部の方しか知りませんが寺の片隅に銅像があります。被害を受けた国の慈悲で今の日本があることを忘れてはいけないと、後世への警鐘のため、足利正明師が作りました。ジャヤワルデネ(スリランカ)、蒋介石(中国)、ダグラスマッカーサー(アメリカ)が並び、日本再建の三大恩人の文字が石に刻まれています。
私と娘は、銅像を建てた雲龍寺の故足利正明師が園長をしていた光明第五保育園出身。また母は、先生として勤務していたので、三代でお世話になりました。今回の取材で平成元年にジャヤワルデネ元大統領(スリランカ)が雲龍寺に招かれ、園児を前に話をして下さったことが分かり、胸が熱くなりました。元大統領は、「皆さん、世界の平和は、こうして人と人が出会い、お話をすることが大事なんですよ」と話されたそうです。
八王子の五重塔を見る時、今まで受けた数多くの恩を思い出します。戦地より生還し、保育園、高齢者施設、障害者施設、救護施設などを開設し、その生涯を福祉にささげた恩師がいたことを。また、幼い私の手を引き、弟を背負い、急な坂を毎日歩いて園まで通った母への感謝を。